栃木県立博物館の企画展、「植物画の楽しみ 絵で感じるボタニカル今昔」を見に行きました。
近世~近代の日本の植物画をテーマに分けて展示していました。
作品展の主題とは違う見方かもしれませんが、
私の感想としては、植物を描く事=当時の人たちがどのような視点や期待を込めて
植物を眺めていたのかに思いを馳せるヒントになるな。という事でした。
↑少ない色幅で自然を表現している中に、派手でユニークな鳥が一羽。
何やら作者の企みを感じます。目で見たそのままの景色ではないですよね。
心情を写した芸術の一部として、自然の一部として植物が描かれています。
水墨画がモノと動きをあえて描き分けない手法を用いているように、
植物は自然の一部として、当たり前のようにあるもの。なのだろうなと。
短歌など言語の世界では植物の扱いも少し違いますが、いつかそちらも深堀してみたいです。
↑近代以降は西洋の文化を積極的に取り入れます。
分解=理解と言わんばかりの解剖図と正確な模写。データベース的な表現が中心ですね。百科事典でもつくるのでしょうか。
なぜこんな形をしているのだろう?このパーツはどんな役割があるのだろう?といった具合に知的好奇心を刺激します。
最初に紹介した絵画とは、見方も目的もまるで違います。
1心情を捉えた芸術の一部に、まるで作品を描く前から「在る」ような植物の絵と
2再現性を感じるプラモデルのパーツの様な正確で比較が楽しいサンプル的描写。
時代と価値観の変化によって植物の描き方が変わります。
現代はどうでしょう?スマホの普及で写真撮影が容易なこの時代。
あえて植物を絵画として描くとき、どのような表現で描くのか?
そんなことを考えていると、自分たちが植物になにを求めているのかが、少し紐解けるかもしれませんね。